
■厳しい農業の現状
農業を主な職業とする熊本県の基幹的農場従事者数は、現在
約51,800人です。2000年から2020年までの20年間に、
約37万人がほぼ定率で減少しました。1年間に大よそ1,850
人ずつ減少したことになります。全国的に見ても、状況は同
じです。専門家の間では、5~10年後に、日本の農業が機
能不全に陥るのではないだろうかと言われています。農家数
の減少に伴い、耕作放棄地が増加し、使われなくなった農地
が他の用途にいとも簡単に転用される現象が進んでいます。
また、皆さんも感じていらっしゃる通り、年々夏の暑さが厳
しくなってきています。気候変動の影響です。農家は、今ま
でに経験したことのない暑さ対策に挑んでいますが、対処が
追いついていない状況です。農家数減少に加え、厳しい自然
が立ちはだかります。日本の食を守るため、農家は大変な苦
労を背負っています。

■「農家」こそが「品質」
作り手そのものの姿勢・思想・技術・誠実さが、そのまま品
質になります。
作物は、農家の手助けにより成長し、収穫を迎えます。
栽培プロセスにおける農家の手助けの質が、作物の品質や安
全性を左右します。土がどのような状態で、何が足り、何が
不足なのかを掌握し、正しく肥料を施し、必要があれば正し
く安全に農薬を使用します。日々の作物との会話を重ね、野
菜たちがどのようなことを求めているのかを経験から感じ取
り、手助けをします。しっかりと作物と向き合い、収穫のタ
イミングを見極めます。出来上がった作物の品質は、「農家
の質」が大きく影響するのです。作物の品質を決めるのは、
技術よりも「人間性と覚悟」なのかもしれません。私たちは
農家のレベルや栽培プロセスの見える化に力を注ぎます。

■「食」は「国防」
私たちは食べないと生きていられないし、食べたものでつく
られています。
自給率はカロリーベースで4割であり、6割を輸入に頼って
います。6割の輸入、これからも安定して輸入することがで
きるのでしょうか。世界は今、多発する紛争により大変不安
定な状況に陥っています。多くの国が有事に備え、自国民の
食料備蓄量を大幅に増やそうとしています。自国民を守るこ
とを優先している国々が、本当に日本への輸出を続けてくれ
るでしょうか。農家は単なる生産だけではなく、食の安全保
障面でも支えています。農家が安定した収入を得ることがで
きるようになり、就農人口を増加させるため、何に取り組ま
なくてはならないのか、私たちは真剣に考え、計画し、実行
します。

■農家が見える
「農家」こそが「品質」と言うからには、その「農家」がど
のような人なのか知ってもらう工夫が必要です。履歴管理が
できるというのはごく当然のことです。農業を行うために何
を知っていなければならないのか。どのような覚悟で農業に
取り組んでいるか。消費者にどのような責任を果たすのか。
農業を通じて何を実現したいのか。環境に配慮しているか。
皆さんに理解していただくために、私たちは様々な工夫をし
ます。

■「楽しく豊かな農業」の実現
苦しみながらも、楽しめている農家さんは意外と多いので
す。逆に、適切な収入を得て悠々と生活できている農家は少
ないのです。豊かだから楽しいのか。楽しいから豊かになれ
るのか。鶏と卵です。農業を楽しむことは良いことです。し
かし、ぎりぎりの収支や赤字の状態では、新たな取り組みの
ための投資もできず、そのような状況が、「潮時かな?」と
離農を考える農家を増やします。
人は食べないと生きていられないし、食べたもので作られる
と前述しました。生産者と消費者が手を組み、お互いを支え
合うことが大変重要です。「食」という「国防」は、農家だ
家ではなく、日本国民の課題なのだと考えます。
私たちは、「楽しく豊かな農業」を実現します。